緒言
Introduction

仮定している技術レベル:

パイロットがテイクオフ、ランディングゾーン(LZ)への飛行、ランディングのためのアプローチやランディングなどの基本的な技術をマスターしているものとする。


目的及び法的な注意書き

 この助言リストはここ10年以上にわたって集められている。このリストは悪い状況になったときのより良い対処方を知りたい、あるいは飛行の技術を改善したいと願うパラグライダーパイロットのために作られている。この助言リストの作成に貢献をしてくれたたくさんの皆さんに感謝したいと思う。アドバイスのうちのいくつかはしょうもないものかもしれないが、まだよくわかっていない人のために残してある。著者は決して極端なマヌーバーを勧めるものではない。著者はここで述べられている助言によっておこったけがや損傷について責任を負わない。ジェイローム・ダオーの許可無く、このドキュメントの全体あるいは部分的な複製を禁じる。


重要さのレベル/更新年月日/色

このドキュメントの各助言は以下のようなレベルに分類される。

L1 最も重要なアドバイス。あなたがしなければいけない事。この事象は起こりやすい。
L2 重要。あなたはこれをするべきである。この事象は起こることがある。
L3 これをすれば助けになる。習慣となるようにしてみなさい。この事象は頻繁には起きない。
L4 情報として。もし良いと思ったら試してみなさい。


重要さのレベルの次に書いてあるのは助言の最新の更新年月日である。
1999年10月以降に更新されているものはこの色になっている。

例えば、”L2-1990/5/18”とあったら、これを行うべきで(L2)、1990年5月18日に改訂された(最初に記述された日ではない)の意味である。

著者について;

ジェイローム・ダオーは1989年からパラグライダーをやっている。彼はカナダで学んで、モントリオール近郊のヤマスカ山(Mt Yamaska)で主として飛んでいた。1993年にフランスへ引っ越して、アルプスで飛んだ。1996年からはカリフォルニアに住み、クリストライン・ソアリング・クラブ(Crestline Soaring Society Club)内のマーシャル(Marshall)でフライトを楽しんでいる。それら3カ国の各々で彼は簡単に(えっ?)テストに合格してライセンスを取得した。地方の競技会でいくつか賞をもらったことがあるが、彼は競技会を楽しんではいない。というのは、競技会は彼に多大のストレスを与えるからで、ストレスは通常の仕事で受ける分だけで十分であると彼は思っている。彼の妻、シルヴィ(Sylvie)は一年を通してとても良く彼を助けている。

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単位の換算表
Conversions

1 kg = 2.205 lb (ポンド)
1 m = 3.28 ft (フィート)
1 m/s (m/秒)= 197 fpm (feet per minute)(フィート/分)= 2.24 mph (マイル/時) = 3.6 km/h
1 km/h (km/時) = 0.621 mph = 54.7 fpm = 0.278 m/s

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テイクオフ
Launch

L1−1999/11/20.
ハーネスに収まること
 多くの事故がテイクオフ後、パイロットがハーネスに座ろうともがいているときに起きている。最もひどいのはブレーキコードを持ったままハーネスの下を手でつかもうとすることである。パイロットは無意識にストールに入れている(フル、回復)。あるいはもし片手だけをハーネスの下に入れたとすると、グライダーはスピンに入るだろう(回復)。写真参照;ブレーキを手に持ったままでハーネスに座る事。
 その他の悪い例は、ブレーキから手を離してハーネスをつかむことで、つぶれ(非対称、回復)がおき、コントロールをさせられないうちに(まずブレーキを見つけないといけないのだから)、地面にぶつかってしまう。そんなに悪くないやり方は、片方の手で両方のブレーキをつかみ、もう一方の手でハーネスを操作するやりかただが、これも非対称的なつぶれに際しては、両手でブレーキを持っているときほどうまくは制御できないだろう。もし、オートマチックにハーネスに座れないときには、山から十分に離れてから以下のようなことを試してみなさい。後ろに寄りかかり、両手で(ブレーキをつかんだまま)ライザーを押しながら(しかしつかまないこと、ブレーキをホールドしている手の高さのライザーを押すこと)ひざを胸の方にまで上げ、体をハーネスの中でよじって、体がハーネスの中へ落ち込むようにする。2本の帯ひもにハーネスをくっつけてガレージの中でこの操作を練習すると良い。あなたのハーネスは後ろの低い(方の)帯が締まりすぎていませんか?(訳注:意味不明。原文: Do you have harness lower back straps that are too tight ?)

訳注;(フル、回復)とかあるのは最後に付いている参照項目。まだ訳していない。


L2−1990/7/1.
 態度。次のようなときには、決してテイクオフしてはならない。飛行条件が簡単ではないと感じたり、あるいは新しいテイクオフエリアで難しいと思ったりしたときには、もっと別の日に、あるいは別のところで飛行しなさい。グループ効果(訳注;心理的なことの項目の一つとして最初に出てくるが、まだ訳されていない。集団心理というような意味)と見せびらかすように飛んでいる人達には十分に気を付けなさい。私は”では出るぞー”と言って飛び出して、強風のため駐車状態になっている人達をたくさん見ている、確かにおもしろそうだけど。

L2−1990/6/1.
 もし、風の強さが3秒以内で10km/時(2.8m/秒)以上変化したら、乱流に出くわすだろう。テイクオフしないこと。

L2−1991/7/1.
 以下は丸い山頂からのテイクオフに適用される。一般的なガイドラインとして、もし平均風速が20km/時(5.6 m/秒)、突風が25km/時(6.9 m/秒)以下で5秒以上続くことがなければテイクオフは可能であり、翼の対空気速度と比べてまだ十分な余裕がある。乱流を避けるために、できる限り遠い前方の風を良く観測しなければならない。風速計を傾けて最大風速の方向を見つけなさい。そして、地面に近いところで風速は減少することを心に留めて起きなさい。もしテイクオフから前に動けるなら、水平方向の風の成分はより小さく、上昇成分はより大きい(良い)事を覚えておきなさい(訳注;風速計で風速を測るときに最大風速の方向を見つけなさいとありますが、計った結果、最大風速の方向が水平ではなくかなり傾いているときには、前に出られますと言う事が言いたいのだと思います)。

L2−1991/8/1.
 灰色の雲が黒くなってきて、サーマルが広い領域で強くなってきたら、テイクオフしないこと。もし飛んでたらすぐに降りること。見渡せば雨の降っているところが見えるかもしれない。

L2−1990/5/1.
 翼に空気を入れて膨らます前に、自分自身に言いなさい、”これは単なる試しで、もし全てがうまくいったときにだけテイクオフしよう”と。決して、”もう2回も失敗しているし、これ以上笑わるのはごめんだぞ”等と考えてはいけない。どう猛な蚊もまたテイクオフを急ぐ悪い理由となる(訳注;どうもアメリカは蚊が多いようである)。

L2−1990/8/1.
 テイクオフした後、翼がスピードを出すために(あなたが十分に速く走らなかったせいで)ダイブし、それに続く波のようなうねり(訳者;ピッチングの事と思われる)を起こすことがある。もし、うねりが始まったときにブレーキコードの引く量を多くすると、振子運動を増幅し、うねりの頂点だとストールに入ることもある。もしサーマルなどのリフトと同時に出くわしたりすると、この効果は混合されて現れる。

L2−1998/11/1.
 テイクオフする10のまずい理由。
 10)もう充分長く待った。
  9)車で降りられない。
  8)寒い、腹減った。
  7)ここまで長い距離歩いて登った。
  6)暗くなってきた。
  5)雨が降りだす前に飛ぼうぜ。
  4)蚊に食われる。
  3)夕飯に間に合わない。
  2)もし飛ばなかったら弱虫に見える(グループ効果)。
  1)今日はヴァケーションの最終日なんだ!

L2−1999/11/16.
後ろ向きの離陸
 後ろ向きで立ち上げて(クロスハンドでの立ち上げ。原文は reverse inflation( 逆膨らまし)となっている、)、向き直る前に持ち上げられてしまう事。もし、後ろ向きで立ち上げたときに翼が立ち上がってくるやいなや浮き上がってしまう危険があるなら、そうなる前にすばやく回ってしまうことは良い考えであると思えるかもしれない。写真参照。しかし、もしそのように早く回転している最中に足が地面から離れたとしたら、あなたはその回転を(空中に浮いているから)もはやキャンセルできないので、そのまま(勢いで)ぐるぐる回ってしまい、ライザーがツイストしてしまうだろう。こうなったら方向を定められなくなる。私はこうなったことがあり、翼が丘の方に向くまで私は間違った方のブレーキをずっと引っ張っていた。こういう状態にならないようにするには、そもそもす早く回転するのをやらなければいいし、そして/あるいは、テイクオフするときに手伝いを頼むことである〔誇りが高すぎる?)。(もしそうなってしまったら)最も、重要なのはリラックスすることと、とにかく丘から離れる事で、ツイストを直すのは後回しにする。ツイストが直るようにライザーを掴んで、前を向いている間にライザーのツイストが直るようにする(この時に回転が翼に影響することがあるかもしれない)。胸ベルトをきつく締めすぎないように(飛ぶ前に)確認しておくこと。体操運動能力の高い人なら、ライザーが回転に対して最大のねじりモーメント力をもったときに、両手を左右にいっぱいに伸ばし、両足を前に大きく伸ばせ(これによって回転の慣性モーメントを増加させ、回転速度を減少させられる)、そしてこの理想的なライザーのツイスト角を長引かせるように、上体をねじりなさい
(訳者;最後意味不明、原文;,and twist your torso to prolong this ideal riser twist angle.)

L3−1989/9/1.
 頭の上にある翼の片方が地面の方へ傾いてきたら、高くなっている翼側のブレーキをヒットすると、もしあなたが強い前進力を与えていなければ、元に戻っていく。これを修正するのに最も重要な動作は体を地面に近い側の翼の方へ移動させることである。(訳注;翼が傾いていると、体は翼の中心に位置していないので)翼の中心にいくように体を動かすと考えると良い。

L3−1999/7/25.
 翼の落とし方;Bラインキル。もし、風が強く、頭の上でたこ揚げでもしているような状態になっているキャノピーを直ぐさま下ろしたいときには、ブレーキから手を離し、Bライザーを引っ張り下せ。この方がブレーキを用いるより早くキャノピーを下ろせる。もしブレーキコードを掴んだままだと、Bラインの接着点とトレーリングエッジの間に抵抗表面が保持されるので、ブレーキを放すこと。もし、強風で地面の上を引きずられたら、片方のライザーだけをつかんで(理想的にはBライン)自分の方へ巻き取るようにすること。Bラインの固定点に大きなストレスを与えることになるので、この技術を習慣的に(着陸の度ごととか)使うのは避けるように。翼の落とし方;横つぶし(下記)、翼に引きずられたら(つぶれと悪い状況の項)も参照のこと。

L3−1999/7/25.
 翼の落とし方;横つぶし(原文:Slip Collapse、滑りつぶし)。もし、風が強く、頭の上でたこ揚げでもしているような状態になっているキャノピーを直ぐさま下ろしたいときには、一方の翼端に向かって走ながら(後退しながら端の方へ行く)(訳注;前を向いている時の話と思う)、そちら側のブレーキラインを巻き込んでいく。これによりキャノピーは回転し、風に対して横を向くので、風に対する面積が小さくなる。翼が風に対して45度以上になると、風にさらされている側の翼端は(あなたが走ったと反対側の翼端)大部分のセルがつぶれ丸まるように崩れて落ちてくる。翼の落とし方の項、Bラインキル(上記)とつぶれと悪い状況の項、翼に引きずられたらも参照のこと。

L3−1990/5/1.
 自分より前に誰かにテイクオフさせることは飛行条件を見るのによい。

L3−1990/5/1.
 もし風がない状況でテイクオフするときには障害物の高度が一番低い所を通るように飛行ルートを考えておけ。

L3−1991/5/1.
 しばしば熱上昇風は一定の時間間隔で発生する。20分間風の強さを観察すれば、次のサイクルを予知できるだろうし、熱上昇風が再び吹いてくる直前にテイクオフすることも可能である。また同時に、そのサイクルの間で一番強い風が吹いている時間にも注意をはらうべきである。

L3−1991/6/1.
 もしテイクオフで前からの軽い風を感じるが、後ろを見ると木が強い風にあおられて揺れていたら、頭上の雲の動きを眺めて、自分が今後ろからの強い風によるローターに入っていないことを確認せよ。

L3−1991/7/1.
 テイクオフで、強い向かい風(20km/時以上、5.6 m/秒以上)になっているが、ランディングゾーンでは風が弱い(5km/時以下、1.4 m/秒以下)と言っている。これは、飛行全体にわたる平均的上昇風成分が(サーマルを無視して)すごく良くはないことを示している。というのは、この風速の風が大部分低い高度から来たものではないからである。(飛んでも)上昇性分のあまりない向かい風が期待できるだけである。

L3−1999/12/5.
断崖からの離陸
 あなたは断崖テイクオフからまさにテイクオフしようとしている。強い風が前から吹き付け後ろにローターを作っている。もしあなたが、かなり後ろの方でスタートするときには、すぐ前にあるリフト帯に気を付けよ、それはあなたが入って来るのを邪魔するし、あなたを持ち上げてローター帯に押し戻すだろう。できる限り前の方でスタートするようにして、最大速度で飛ぶ用意ができていること。もし、断崖の端のところで止まろうとするときには、水平方向ではない風が翼をあなたの前方で安定させてしまい、もっとブレーキをかけないと、あなたを前の方へ押しやろうとすることがあるので注意。
写真参照。断崖からの離陸。

L3−1991/8/1.
 右もしくは左から30度以上の角度で風が吹いている。もし、あなたが地勢の関係で(森の中のスキーの斜面のような森の中の廊下状の切り通し)真っ直ぐにテイクオフしなければならないときには、風上側の翼がテイクオフ直後につぶされるかもしれない。できる限り早めに風上側に回ること。

L3−1999/11/20.
 レッグベルトを締め忘れた時。何人かの人がこのために死んでいる。脇の下でどうすることもできずに、数分間苦悶しながら、ぶら下がり、ついには落ちてしまう。もし、締め忘れたら次のことをしてみなさい。ライザーを掴む。体重を腕にかけて、両足を前後に振って振り上げ、ライザーとラインに足を引っかけなさい。ハーネスを尻の下に持ってきなさい。足を振り戻して正常に座り、ベルトを締めなさい。ガレージでこのような状況に置ける操作の練習をすることができる。
写真参照。レッグベルト締め忘れ時の回復操作。

L3−1991/4/1.
 胸ベルトを締め忘れた時。私は飛んでいる最中に調子の悪い自動式のバックルがはずれて、同じような状況に陥ったことがある。最初はびっくりしたが、また締め直すことが可能であった。締めるためにかかっているテンションはあなたの体重のおよそ25%である。かかっているテンションは、その場所でのあなたのつり円錐の角度によって異なる。

L3−1999/11/20.
つむじ風(ダストデビル(dust devil);埃の悪魔
 
翼をつなげて飛ぶのを待っているとき。もし翼につなげたハーネスにバックルを締めておさまって時に、つむじ風がすぐ近くでおきたら、翼が飛び上がるのを防ぐために、翼の上へ飛び乗りなさい。
写真参照つむじ風が起きたら翼を押さえること。離陸を待っているときに、不必要に翼につなげた状態で時間を費やさないこと。アプローチの項のつむじ風も参照のこと。
訳者注;ダストデビルというのは土埃を舞い上げるつむじ風のとだろうが、日本だとすごいつむじ風が起きた話はあまり聞かないが、巨大な竜巻が毎年発生して死者が何人もでる国なので、単なるつむじ風と言っても半端な大きさではないのだろう。


L3−1999/12/5.
 離陸しようとしている。人々に注意。前方にいる人達に離陸するので注意するように言おう。彼らはあなたがうまく離陸する/あるいは失敗するのを眺めて楽しむだろうし、あなたが予定しているパスの途中で誰かがキャノピーを立ち上げたり、妨害したりするのを防げるだろう。
写真参照。離陸することを皆に注意する。

L4−1999/4/19.
 ラインのもつれをほどくために、まずラインをのばし、Aラインを持って、片側のブレーキラインを引っ張ると、他のラインが全てほどける事が良くある。もしハーネスがはずれていて、ライザーに結び目があったら、キャノピーの方から始めて、Aラインを外に出しながら(ハーネス接続ポイントの方へ)戻って行きなさい。

L4−1989/10/28.
 もし、突風、下手なグランドハンドリング、もしくは下手なランディング等で翼がこんがらがったり、もつれたりしたら、次のことを試してみなさい。リーディングエッジの真ん中を掴んで端へ向かって手でたぐって行きなさい。決して端から始めなてもつれをほどこうとしいように、かえって混乱が大きくなるので。

L4−1991/5/1.
 もしあたかもサーマルが通っているかのように風が吹いているのに、テイクオフ前や下の木の枝が少しも揺れてないときは、サーマルはテイクオフの後ろで発生し、あなたが立っているところの空気を引っ張っているだけかもしれない。このようなときはテイクオフにはむかない。

L4−1990/5/1.
 強風の中で翼をセットするときには、風によってめくれ上がるのを防ぐためにトレイリングエッジの上に小石を並べると良い。あるいはAライザーを正しく検索するため、リーディングエッジで30cmほどの壁を作る手もある。この壁は翼の上を吹く風を弱める。

L4−1994/7/1.
 草の生えた非常に傾いた斜面からテイクオフする必要のある時。洗濯ばさみでリーディングエッジと草をくっつけておくと翼が滑らない。

L4−1991/6/1.
 あなたのハーネスにパイロットシート(1990年代のはじめには一般的だった)があり、重いバックパックと共に(訳注;背負っての意味だろう)テイクオフする時。これは翼のアタックアングルを増加させる。足でもっとプレッシャーをかけ、(後ろにかかる重さで)相殺されている力を取り戻さなければならない。

L4−1998/7/1.
 キャノピーはいつでも真ん中よりも端が早く膨らむように見え、そして馬蹄形とか”V”字型とかのレイアウトをすでに試しているとき。Aライザーを引っ張る代わりに、翼端に一番近いラインを除く全てのラインを引っ張ってみなさい(グローブをすること)。これだと翼の中央がまず引っ張られることになる。

L4−1998/11/1.
 まさしくテイクオフしようとしているが、ちょうど雨が降ってきた。本当に飛ぶ必要性があるか? 雨粒が大きくなればなるほど雲の下や中のリフトはより強くなる事は知っておくように。もし、単なる細かな霧雨だったら、リフトもシンクも悪くはないかもしれない。しかし、もし大きな雨粒がキャノピーに当たる音がしたら、要注意。


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ランディング
Landing

L2−1990/8/1.
 着地のためのフレアーに先立って、ミニマムシンクレートで飛ぶ習慣があるとする。地面に近いところでは、ウィンドグラディエント(風の強さに比例する)が存在するかもしれない事を知っておくべきである。それにより地面から数mの高さのところで機体にストールが起こる。ファイナルアプローチに入ったらより速い速度で飛びなさい。

L2−1990/5/1.
 偏流修正飛行(原文;Crabbing、カニ歩き、crab はカニ)。着地することに決定したが、風の方向がフライトパスに合っていない時。あなたはカニが歩くときのようなやり方をする必要がある、つまりあなたが意図するフライトパスに対してある角度を持って飛ぶ必要がある。風が左から吹いているとしよう。もし着地点へキャノピーを向けて飛行すると、左からの風に押されてグライダーの軌跡は右へ右へと曲がっていき、最後には着地点の右側に行くことになり、着地点へ行くためには風に向かっていかなければならなくなる。遅かれ早かれ、横風成分に対する軌跡の修正をしなければならなくなるだろう。横風の強さによって、翼を着地点の方向からから角度を付けた方を向かせて、着地点まで飛ぶ必要がある。カニ歩きの間、常に一定の角度である必要はない。最も短いパスがいつでも目的地の方へ向かって飛ぶ事で得られるとは限らない。

L3−1994/6/1.
 雨が地平線〔+10km)で激しく降っている。着地する時に強風に出会う事を予想せよ。冷たい雨が地面に当たると、冷気が周りに(訳注;地面に沿って)広がるためである。

L3−1991/7/1.
 風が強く、風の陰になるような所、例えば森の中の窪地のような所に着地しなくてはいけない時。あなたは2つのうまくない状況、すなわち乱流に対する操作と窪みに入るために速度を落とすことに因るストールとどこかで折り合いを付ける工夫をしなければならない。最もまずいこと、地面近くでのつぶれからスパイラルダイブに入る事を考えると、ストールにそなえてその起こり際に(沈下率が増加する)手を挙げる心構え(準備)をして、ゆっくり飛ぶ方を選びなさい。

L3−1990/7/1.
 強い風が吹いているところへ着陸するつもりである。樹木の列や家はその高さの10倍の距離離れたところでも乱流を引き起こすことに注意。

L3−1999/10/3.
 急な斜面に着地しなければならない時。もし、風が強くなく風に向かって飛んでも斜面に対する高度が落ちないときには、グライダーの飛ぶ向きを、対地高度が落ちる方向へ変えて飛びなさい。そして(地面に着く寸前に)、(訳注;翼が)風に向くようにフレアーを掛けよ。(訳注;クロスウィンドでのランディングになる)

L3−1999/7/25.
 着地しました。何もおきませんでしたね? 何人かがすでに着地後に地面を引きずられて死んでいるし、隣の川へとばされた人もいるし、衝突して気を失った人もいる。翼に引きずられたとき参照のこと。

L3−1991/7/1.
 風が強ければ強いほど、フレアーを必要としなくなる。

L3−1991/7/25.
 つむじ風(ダストデビル)、アプローチの時。 つむじ風からできる限り離れたところにいなさい。もし着地場に発生していたら、どこかよそへ降りなさい。参照;つむじ風、翼につながった状態で待っているとき。

L4−1991/9/1.
 もし一時間以上飛んでいるなら、脚の感覚が麻痺していないことを確認しなさい。バリオメーターのベルトをきつく締めすぎないように注意。

L4−1998/11/1.
 後ろ向きのランディング。もし後ろ向きにランディングするような羽目に陥ったら、ライザーをクロスさせてハーネスを回しなさい。フレアーはしない。やると対地速度が(かえって)大きくなる。後ろに走るより前に向かって走る方が簡単である。



トップランディング
Top Landing

L2 - 1998/12/1.
 トップランディングには両翼端折の習慣を付けておくと良いだろう.
それは両翼端折りは乱流の中でより安定しているし,より大きな沈下率をもたらすからだ.
グライダーが前に走ろうとするときあなたはそれを十分コントロールできると思うか?
あなたはいつでもフロントコラプス(前縁潰れ)を行ったり,回復したりできるか?
あなたはフロントコラプスを行うとき,同時にアクセルを踏むと,潰れが起きやすいか,起きにくいかどちらだと思うか?

L3 - 1996/5/18.
 トップランディングしようとしたとき,あなたは高過ぎたと気付いた.このときブレーク操作をしすぎたり,失速ぎりぎりの状態にしてはいけない.なぜなら失速は次の瞬間にでも起こりうるからだ.そんなときにはやりすごして,もう一度上昇風帯にもどりなさい.そして高度を獲得してもう一度やり直すのだ.後ろからのアプローチではローターに掴まるかも知れないと言うことを忘れないこと.後ろからより横からのアプローチを行うように心がけなさい.そしてブレーク操作に先だって,風に向かってターンすること.地元の人にどういうアプローチをしたら最適か聞いておくこと.

L3 - 1999/1/15.
滑空比を減少させてランディングをやりやすくするために.サイドからアプローチすること.例えば風があなたの右側から吹いてるときは,できる限り右側に体重を移動し,飛行方向は左のブレークで調節する.そして着地の直前に左のブレークを放して風に正対するようにする.

L3 - 1999/3/21.
トップランディングすることより困難なことは何か?それはトップランディングしないことを決断することだ.もしエリアが強いサーマルコンディションだったり,乱流があるときには,ランディングするかどうかを2回繰り返して考えてみること.もしあなたの前に他のフライヤーがトップランディングを行っているのを見たときには,この決断はより難しいだろう.この心理的効果に惑わされないように

L3 - 1999/12/5.
 トップランディング-みんなに気付かせること.あなたがトップランディングを行おうとしていることをみんなに気付かせなさい.そうすればみんなはあなたがトップランディング失敗する(成功する)のを見て楽しむでしょう.
そして誰かがあなたの降りようとしているルートのどこかでキャノピーに風を入れたり立ち上げたりするのを止めさせてくれるでしょう.そんなことをすると乱流が発生したりしますからね.
写真参照:みんなに気付いてもらおう,あなたがトップランディングを行おうとしていることを.

L4 - 1999/9/20.
滑空比を減少させるためには,上体を起こした,あるいは立った姿勢になること.これによりパイロットによる空気抵抗が増加する.



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